Red Velvet@Garrick Theatre [エンタメ]

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2月9日のソワレ。19時半から休憩を挟んで約2時間半。

イギリス帝国内での奴隷制廃止に関する議論が最高潮を迎えていた1833年4月に、コヴェント・ガーデンのシアター・ロイヤルに、アフリカ系の俳優として初めて登場したアイラ・アルドリッジ(Ira Aldridge)が、(たぶん)死の直前の時点から当時のことを振り返る物語。帝国内での奴隷制は1833年8月に違法になるわけで、その年の4月は奴隷制に反対する議論が最高潮を迎えていたはずですが、俳優たちがアルドリッジとどう接すればいいのか分からずに戸惑う様子や、新聞紙上での偏見と差別に満ちた酷評や、そういった酷評に対して舞台関係者がとった態度にアルドリッジが大いに傷つく様子が、劇中劇(『オセロ』と『リア王』)も含めて描かれていました。

劇中劇はそれぞれ時間にすればほんの数分ながら、どちらも印象的で素晴らしく、そして悲しい。オセロの衣装を着けたアルドリッジ役のエイドリアン・レスターは、こんなにオセロらしいオセロはいないんじゃないかと思えるはまり具合で、アルドリッジもムーア人という設定のオセロらしいオセロだったのだろうと思われるわけですが、デズデモーナを殺害するアルドリッジの迫真の演技に当時の観客が嫌悪感を抱いたことが舞台関係者のセリフとして伝えられるし、納得できない思いをリア王のセリフに載せて吐露するアルドリッジの白塗りが、その表情もアフリカ系としてのアイデンティティも隠していて複雑。

今度、ナショナル・ポートレート・ギャラリーで、アルドリッジの肖像をじっくり観なおしたいと思います。
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