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A Christmas Carol @ Noel Coward Theatre [エンタメ]

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気分的にはクリスマス前に観たかった作品ですが、1月になればTKTSでいい席がお安く購入できるのではないかと見込んで、1月12日に拝見。£65のお席を£35で。席と席の間が狭いので前の人の頭で視界がやや遮られたものの、前から10列目のセンターという良席。

若干の変更があるものの、ストーリーは、まあ原作通り。敢えて言えば、主人公のScroogeが自分の過去と向きうことによって、自分も人や物に愛情や愛着を持てることを認識する点が強調されていました。そのようにハートウォーミングにまとめつつ、基本は、吉本的な感じもする喜劇。会場中が楽しく、くだけた雰囲気で、(普通なら気になるはずの)後ろの席でスナック食べている人のプラスチックバッグのガサガサ音も気にならず。装置はいかにもヴィクトリアン・クリスマスな感じを出していて、紙芝居を思わせる簡素さ。最先端の技術を駆使していない、どちらかと言えばチープな感じがいい雰囲気。雪を手で降らせたり(時には人物に投げるように降らせてみたり)、人物を叩くのに合わせて、舞台横で客に見えるように効果音を出したり。

Scrooge役のTom Broadbentさんがたぶん有名な喜劇役者。何役もやっていた、高田聖子さんのような柴田理恵さんのような女優さんも芸達者。イギリス人のみなさまは、笑わせてもらうぞ!と期待して見に来ていたのだと思う。
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As You Like It@National Theatre [エンタメ]

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面白かった! 今回の滞在でシェイクスピア劇を観るのは、『ハムレット」『冬物語』に続いて三作目。もう1回観るならどれ?と尋ねられたら、迷わずに、『お気に召すまま』。思い返してみれば『ハムレット』は奇をてらい過ぎ。カンバーバッチがよかっただけに残念。

20世紀半ば?的なオフィスの装置からお芝居が始まり、現在に設定を置き換えているのかと正直がっかりしましたが、どんどん引き込まれて何の違和感もなく。そして、オフィスの机や椅子が目の前でどんどん吊り上げられて木や枝になり、吊り上げられた椅子の上に役者さんが座ってフクロウに。私は前から2番目のセンターというちょっと首が痛くなりそうな席(£15!)に座っていて、舞台上の天井を見上げられる位置にいたのですが、その天井が見えないほど、机や椅子が鬱蒼とした森になって、これだけでも観る価値あり。圧巻!

ヒロインのロザリンド(ケイト・ブランシェット似の美人さん)を始め、役者さんも素晴らしかった。セリフはもちろん、アカペラで歌う歌も、みんなでアランセーターを着て羊になる場面も、素晴らしかった。『お気に召すまま』の名セリフ

All the world’s a stage,
And all the men and women merely players
(この世は舞台、男も女も役者に過ぎぬ)

…は意外にあっさり。でも、それがいいバランスでした。

演目にもよるのだと思いますが、前からたぶん3列目までは£15のお安い席。1番前だとステージまで1メートルもないくらい近く、前から2番目の私の場合、ステージよりも少しだけ目線が上。でも観にくいとかいうことは全くなく、£15でこれだけ観れれば御の字…と周囲の(知らない)人たちと話したものです。それよりも後方の席は、普通に£50くらいです。
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Jane Eyre@National Theatre [エンタメ]

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12月22日に鑑賞。休憩中のトイレの行列で聞くともなしに聞こえてきた会話によると、好き嫌いが分かれるようですが、ジェインの精神状態が力強く表現されていて、私としては入り込める『ジェイン・エア』でした。こんなことを言うと失礼ながら、ジェイン役のElly Condronさん、演技が素晴らしい一方、「華」を感じさせない方で(体型といい普通っぽい)、それがとてもジェインらしく、私が今までに観たジェインたち(松たか子さん、Charlotte Gainsbourgさん、Mia Wasikowskaさん)は、洗練され過ぎていてジェインじゃなかったと思えるほど。

目新しいのは、バーサ(バーサ役のEllena Vincentさんの声が素晴らしい)がジェインが生まれてからロチェスター氏と結ばれ子供に恵まれるまでの一部始終を見守り、その思いをバラッドにして歌う点。ロチェスターさんが(私から見ると自分本位に)バーサとの関係やジェインへの想いを告白する様子も、バーサがじっと見ていて、バーサの立場から見ると残酷な物語であることもきちんと表現。製作者や演出家の志を感じる舞台でもありました。

ジェインとロチェスターとバーサ以外の役(ロチェスターの愛犬パイロットも含む)は、4人の役者さんが次々に演じて、みなさま芸達者で何の違和感も感じない点も素晴らしかった。中でも印象的だったのは、すらりとした長身で少年っぽい感じのLaura Elphinstoneさん。ギリシャ彫刻のような美男という設定のセント・ジョンの浮世離れした感じがうまく出ていたし、ジェインの親友ヘレン・バーンズを演じるときに、北部訛り?であろう田舎っぽい話し方をしていたのもよかった。ヘレンは「幼い聖女」のようなイメージがありましたが、本当のヘレンはこうなんじゃないかな、と。

原作と大きく違うのは、テンプル先生が登場しなかったのと、ジェインが遺産を相続する件は描かれていなかったこと(マデイラの叔父/伯父さんに「ジェインは熱病で死にました」と嘘の手紙を書いたとミセス・リードが告白する場面はあり)。ジェインとロチェスターさんの子供は原作では男の子だったような気がしますが、この舞台では女の子で、"It's a girl"と役者さんたちが口々に言うところで幕。このお芝居は生まれたばかりのジェインのことを人物たちが"It's a girl"と言うところから始まるので、それに合わせているでしょう。でも、ジェインとジェインの子供は境遇も何も違うわけだから、ちょっと無理やりな感じで最後の最後にやや拍子抜け。…と言いつつ、スタンディング・オベイションには参加。
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The Winter's Tale@Garrick Theatre [エンタメ]

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9月にチケットを購入していた『冬物語』をやっと拝見@The Garrick。前から2番目の舞台に近すぎる見にくい席ですが、ジュディ・デンチやケネス・ブラナーが自分から2メートルくらいのところにいるという幸せ。

ブラナーがシチリア王リオンティーズ役、デンチが王の家臣の妻で、王妃ハーマイオニを支援する賢い女性ポーライナ役。デンチが王をものともしない賢い女性というのは、明らかにはまり役。どんな感じなのかだいたいの想像はつくので、注目はどちらかというとブラナー。『冬物語』は王の嫉妬心が周囲に破壊的な影響を与えるという点で『オセロ』と共通するのですが、オセロがイアーゴーに騙されて嫉妬心に駆られていくのと異なり、リオンティーズの場合は、思い込みから嫉妬心を抱き、妊娠中の妻を投獄したり、デルフォイの神託は誤っていると宣言したりするという暴挙に出るわけで、一歩間違えれば、愚かな王、もしくは、狂人の一言で片づけられてしまいそう。

…が、さすがブラナー。ふとしたことから理性が綻び、思い込みから抜け出すことができなくなり、息子と妃の死に遭って、それまでの自分を悔い、生き別れになった娘と巡り合い、妻の生存を知って歓びに浸るまでが、自然に見えてしまう。特に、理性の綻びが訪れる瞬間の、何気ないブラナーの変化は秀逸。もちろん、セリフ回しにもうっとり。映画『ヘンリー五世』でアジンコートの戦いの火ぶたが切られる場面でのブラナーの長セリフが大好きで、何度映画を観たか分からない程ですが、やっぱりすごい。

デンチはここを注目、とかそういうのではなく、存在しているだけで素晴らしい。Act1も、幕間後のAct 4も、冒頭に彼女が登場。それだけで空気が変わる感じ。彼女は今月9日で81歳。滑舌は素晴らしいし、重厚なお衣装も似合っていて、とてもきれい。

いろいろあるけど、最終的にハッピーエンドの『冬物語』。もっとも、それに至る展開は雪崩のようで無理があり(論理的に考えれば一悶着ありそうな箇所はばっさり省略)、本を読んでいるとあれこれ突っ込みたくなってしまう。それなのに、お芝居を観た後(多少、あれれ??と思っても)にこにこしながら劇場を後にできるのは、デンチやブラナーを始めとした役者や演出の力なのでしょう。
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ビリー・エリオット [エンタメ]

billyelliot.JPGbillyeliot.JPG sasaさん、次男くんと観劇。『リトル・ダンサー』は大好きな映画ですが、生の舞台は映画以上に素晴らしい。特にエリオット役の子役くんのダンス・シーンに釘付け。『白鳥の湖』を一緒に踊っていた大人エリオット?の体幹のぶれなさも素晴らしい。バレエを観に行きたくなる。お子さまの観劇も多かったけれども、サッチャー時代を知っている大人だから楽しめる部分が大きいと思う。お父さんがビリーのためにスト破りをするシーン、泣けました。
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ハムレット [エンタメ]

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前々から楽しみにしていた、ベネディクト・カンバーバッチ主演の『ハムレット』をついに観劇@バービカン・シアター。前から4番目の良席。以下、ネタバレあり。上演期間はもうそれほどないですが、イギリスでは今月15日から映像も公開されますので、鑑賞予定の方はお気を付けください。

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ハムレットの父である先王の幽霊が現れるところから始まるのだろうと思っていたら、父親の死と母親の再婚に複雑な思いを抱くハムレットがいきなり現れてまずびっくり。その後、先王の亡霊は登場するのですが、城壁に現れて自分は殺害されたことを仄めかしたことは、ハムレットへの伝聞の中で語られるだけだったりと、冗長を避ける工夫や、観客がハムレットの視点を通して劇中の出来事を知る工夫がなされている印象でした。カンバーバッチは小技も効いて、さすが。劇場内のトイレの"Benedict Rules!"という落書きに頷く。

タイトル・ロールのカンバーバッチは、「ハムレットってそういう人物だよね」と誰もが納得するハムレットだったと思うのですが、衣装や装置はたぶん第一次世界大戦の頃の雰囲気を基調する中に、なぜかその後の時代が入り込むという不思議なもの。ハムレットはパーカーを着ているし、オフィーリアはカメラ小僧のよう。ホレーシオはチェックのシャツやピーコートに眼鏡とバックパックで「ウォーリーを探せ」のウォーリーに見える。破綻へと向かう第Ⅱ部の幕が上がると舞台が瓦礫に覆われていて、展開の速さに戸惑う。埃が舞い上がる中で語られるためか、オフィーリアが水のないところで溺死してしまったような妙な印象。このような不調和や違和感の理由をあれこれ考えてみたのですが、これは、深読みかもしれないけれども、父の死によって、当たり前だと思っていたものが当たり前に見えなくなったハムレットの心象と重なるものではないかという気が私はします。

(…といろいろ考えて納得しようとしても、オフィーリアについて言えば、ミレイの「オフィーリア」がイメージで、そういう描き方の方がよかったなあ)

瓦礫は現在世界のあちらこちらで起きてる惨事を思わせるものでもあり、製作当初にそれがどの程度意図されていたは分かりませんが、カーテンコールの中で、カンバーバッチが、惨事は現在も起きていると語り始め、シリア難民の置かれた現状、特に子供の頃を考えてほしいというショートスピーチ。出口では、バービカンのスタッフの方が募金入れを持っていました。
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